うれしいことに、京都で町家や古民家を賃貸利用して住んでみたいと声をかけていただくことが増えてきました。
魅力的な一方、最新の設備が整った住居とは異なる点も。その特徴を知ることで、活用もしやすくなるはず。京町家の魅力と注意点や相場についてまとめました。
賃貸で利用する前に知っておきたい、京町家の特徴
京“町家”と記載されるように、京都では“京町家”と呼ばれいています。実はこの京町家には実は厳密な定義があったりします。
京町家条例で建築基準法が施行された昭和25年以前に建築された木造建築物で、伝統的な構造及び都市生活の中から生み出された形態又は意匠を有するものを「京町家」として定義されています。
京町家の魅力を醸成する４つの特徴
平成１９年度版「京町家改修技能者マニュアル」（京都府建築工業協同組合）には、その主な特徴は４点だと記載されています。詳細はこちらにも
人と人を介して成立する家々の暮らしや町のなりわいを支えてきた合理的な空間構成
今日の住まいのように扉一枚で家の内と外を隔てるのではなく、道行く人と家人との関わりの度合いによって内と外を多様につないできたのは京町家の特徴の１つです。
例えば、通り庇は、あるときは雨宿りに、あるいはばったり床机を出して展示や休憩に、幔幕を張ってお祭りの演出にと実に多様に使われ、通りの公的な空間と内側の私的な空間の間にある半公共的な空間を形成してきました。
こうした人のかかわりを前提とした空間構成が、都市の中に住みながらも円滑な人間関係の形成を支え、生活と商いを両立させてきました。
高密度な都市の中で、快適な暮らしと都市居住文化を形成してきた自然との豊かな関わり
植栽の施された奥庭と表の通りとの温度差によって、人工的な風の流れを屋内に取り込む。坪庭や大きく開かれた開口部は、その効果を一層高め、蒸し暑い夏を心地よく過ごす工夫がみられます。また、御簾や葦戸などによる夏の模様替えは、風通しを良くするだけでなく、屋内にさし込む光の具合や素材感などによる涼感を演出してきました。
内より見る四季折々の庭は、季節や天候により様々に変化し、日々の暮らしに潤いをもたらし、暮らしの文化を形成してきました。
柱や梁といった構造部材が表に現れる、力強く優美な内外観
特に火袋や通り庇を支える出桁や腕木垂木、さらには大和天井などの木組みの繰り返しのリズム感やプロポーションなどに代表されます。
細部にわたって洗練された素材と造形
格子、通り庇、虫籠窓、土壁の構成は華奢で洗練され、また暖簾、簾御簾などで季節ごとのしつらえをおこないます。
京町家ならではの様々な意匠
間口が狭く奥行きが深い敷地を指して、「うなぎの寝床」と呼ばれる京町家。伝統的な構造及び都市生活の中から生み出された形態または意匠を配しています。
屋根の下の虫籠窓（むしこまど）や格子もまた、京町家の顔の一つ。一見すると同じデザインに見えますが、よく見ると少しずつ違っているものも。
京都の街の特徴を知る
京都市は北区、上京区、左京区、中京区、東山区、山科区、下京区、南区、右京区、西京区、伏見区の11区から構成されています。
大東建託による街の住みここち ＆ 住みたい街ランキング ２０２１ <京都府版>では、市のほぼ中央に位置し、かつて平安京が置かれていた場所で、現在は官公庁やオフィス、商業施設が集積した政治・経済の中心地でもある中京区が「住みここち（住みやすい）」「住みたい街」両部門で一位を獲得しています。
今回は市内4区に絞ってのご紹介です。11区全ての特徴はこちらの記事へ
| 上京区 | 上京区は、京都市内でも歴史と文化が色濃く残る地域の１つです。 多くの名所が点在し、伝統的な京町家や寺院が多数残っています。 京都らしい風情を感じられる街並みが魅力で、歴史好きには特におすすめのエリアです。とくに西陣は伝統的な町家が多く残る地域で、静かな住環境と伝統文化が魅力的です。 |
| 中京区 | 中京区は京都市の中心部に位置し、下京区と並ぶ、ビジネスと文化の中心地。 商業施設やオフィスビルが集中し、活気ある日々を過ごせます。京都市役所があるのも中京区。歴史的な建造物と現代の建築が混在し、京都らしい雰囲気を持つ地区です。 |
| 下京区 | 下京区は北は河原町から、南は京都駅まで、日々の生活に便利な商業施設が集まる活気ある地区です。 店舗やレストランが充実し、都会的なライフスタイルを望む方に適しています。河原町や烏丸四条のようにショッピングや外食に便利なエリアだけでなく、多くの文化財にも出会える、生活に便利な商業施設や飲食店が多い地域です。 |
| 東山区 | 東山区は、清水寺をはじめとする数多くの寺院や歴史的建造物がある地区です。 京都の伝統文化を色濃く残し、古き良き京都の風情を感じられる場所です。住宅地として静かでありながら都会の利便性も兼ね備えている東山。 伝統的な街並みとモダンな施設が混在する、生活しやすい地域です。 |
京都市外から移住される方は「京都移住計画」や「住むなら京都」に、もう一歩踏み込んだ各地域の情報があるので、こちらも参考にしてみてください。